紫-イェソド(Yesod) – 基礎-月
カバラの生命の樹(Tree of Life)は、宇宙の構造、神の顕現、そして人間の魂の道筋を表す神秘的な図で、美しい哲学的思想です。
生命の樹には10個のセフィラー(Sephiroth、神の輝き)と、それをつなぐ22の小径がある。タロットの小アルカナで共に学ぶところでもあります。
ここでは10のセフィラーを簡単に紹介。最下位のマルクトから行ってみましょう。

- マルクト(Malkuth) – 王国
最下位、私たちが生きる物質世界。地上の王国。四色の光(黄、青、赤、黒)。身体、自然、日常のすべて。ここから登り、神へと帰る旅が始まる。
- イェソド(Yesod) – 基礎
月の紫の光。潜在意識、夢、アストラル界。性エネルギー、イメージの力。現実世界への橋渡し。幻想と現実の境界。
- ネツァク(Netzach) – 勝利
感情、芸術、情熱のエネルギー。緑の光。愛の衝動、創造的な欲求、永遠の勝利。恋や芸術の炎。
- ホド(Hod) – 栄光
知性、論理、言葉のエネルギー。橙色の光。分析、コミュニケーション、学問。ネツァクの感情を言葉で形にする。
- ティファレト(Tiphareth) – 美
中心、心のセフィラー。太陽のような黄金の光。調和、犠牲、美、キリスト意識。自分と神をつなぐ心の座。音楽のハーモニーの中心音。
- ゲブラー(Geburah) – 厳格
力と裁き、制限のエネルギー。赤い炎。必要なら壊す勇気、境界を守る強さ。慈悲だけでは崩れる世界を、バランスで支える。
- ケセド(Chesed) – 慈悲
愛と拡張のエネルギー。優しさ、寛大さ、恵み。青い光で表され、与える喜びそのもの。音楽で言うなら、広がるメロディー。
- ビナー(Binah) – 理解
女性性のエネルギー。形を与える力、制限と構造。母なる力。コクマの閃きを子宮で受け止め、形にする。深い理解と慈悲。
- コクマ(Chokhmah) – 智慧
男性性のエネルギー。創造の閃き、最初の衝動。父なる力。星のように爆発する創造の火花。直感やひらめきの源。
- ケテル(Kether) – 王冠
最上位のセフィラー。純粋な神の光、無限の始まり。すべてが生まれる前の「無」。白く輝く光で、存在の源。音楽で言うなら、沈黙の前の最初の息みたいな存在。
これらのセフィラーが、たがいに影響し合いながら、宇宙全体の流れを作っているという、そういうことをまずとらえよう。
上から下へは「神の光が物質に降りる道」、下から上へは「人間の魂が神に還る道」。誰の心の中にも、この小さな生命の樹があるって思うことができるようになることが何よりも重要。
🟣イェソド(Yesod) – 基礎
イェソドは9番目のセフィラーで、生命の樹のほぼ最下部、ティファレト(美)の下に位置していますね。
ここは「基礎」という意味で、上からの神聖なエネルギーをすべて集めて、マルクト(王国、私たちの物質世界)に流す役割。まるで月の光が海を照らすように、潜在意識やイメージの力が現実を形作る場所だ。
機を上昇する際には、第10のセフィラー・マルクトからこの第9のセフィラーへと、私たちの最初の旅がはじまることになります。
マルクト=現実界から、内面的な意識へ向かう旅、夢うつつながら、想像性に満ちたエネルギーがほとばしる場所だと言えるでしょう。
- 主な象徴:第9のセフィラ
- 神名:シャダイ・エル・カイ
- 色: 紫(バイオレット※)やインディゴ。柔らかく神秘的な紫のニュアンス。
- 天体: 月(Luna)。夢、幻想、周期、感情の揺らぎを表す。
- 金属:銀
- 身体対応: 生殖器や性エネルギー。創造の力、生命の流れ。
- 心理的意味: 潜在意識、アストラル界、イメージの力。夢や直感、性的な活力がここから湧き出る。バランスが取れていれば現実が安定するが、乱れると幻想に囚われたり、不安定になる。
- 神名: Shaddai El Chai(全能の生ける神)。
- 守護天使:大天使: Gabriel(ガブリエル)。月の天使で、メッセージや夢を運ぶ。
- 音楽:静かな夜のメロディー
- 裸の男性
🟣イェソド=月
【 月☽ 】人間の精神の働き、気質と感情、西洋占星術的な基盤としてはホロスコープ上第2室を司る。蟹座の守護星
象徴:女性原理、母性、反応と変化、流動性の象徴。憂い(心配や憂鬱)、夜、銀、神秘
月は最も動きの早い星であり、およそ28~31日で天球図・12宮を一周します。
ひとつの宮を2~3日で移動することになり、公転周期は約1ヶ月となります。
この周期が古代の一朔望月であり、陰暦を測る尺度として用いられていました。
太陽が昼間の宇宙を統治するとすれば、夜を統治するのは月。昼夜、光と闇、男女などという相反する二つの、宇宙を構成する要素がペアにして取り上げられると、自然に「月」の存在がクローズアップされ、太陽と対の関係、即ち夫婦関係とされる。よって、古今東西の歴史を振り返れば、太陽を女の象徴とした所においては、月は男の象徴になっているのです。歴史の移り変わりと共に、現在は、太陽を男性とし、月を女性とする象徴体系が定着しています。心臓・レグスルが輝く「獅子座」を守護する太陽の王が座するとすれば、その隣に妃が置かれるでしょう。「巨蟹宮」に月を配当する、即ち蟹座の守護惑星、支配惑星は月。母性、感受性、育み、多産というキーワードを持つ巨蟹宮。が上げられることになります。
天文学上、月は、地球の周りを回る衛星です。27日ほど約一ヶ月弱で一回りします。地球に一番近い星ですので、太陽と共に最も影響が大きい天体です。潮の干満など占星学以外の科学的な立場からも月の影響が言われています。新月、満月などの月の満ち欠けと人間社会は、暦や習慣、生活など古来より強い結びつきがあります。
ギリシア神話ではアポロンの妹アルテミス、狩の女神でもあり、そのアトリビュートは弓矢。狩りの名手ではあるが、無用な殺傷はせず、むしろ動物たちを守護しました。孤独を好み、人間に冷淡だったと言われますが、海の潮を操ることが許されていました。ローマ神話ではダイアナです。他にもヘリオスの姉のセレーネー、大神ゼウスの妻ヘラも月との関連性を謳われています。太陽を肉体、物質と捉えたのとは対照的に、月は精神、心、満ちたり欠けたりすることからも変化、不安定など移ろいやすいイメージで捉えられます。繊細で、他から影響を受けやすい天体でもあります。
正負の側面
正:感受性、想像力、直感、吸収、母性、保護、庶民性、ロマンチック、人気
負:移り気、気まぐれ、依頼心、神経質、不安定、意志薄弱、矛盾、飽きっぽい
象徴的な人物:女性、母親、妻、一般大衆
🟣イェソド=紫/Violet
イェソドの色が紫(特にindigoやviolet寄りの深い紫)な主な理由は、月(Luna)の象徴と強く結びついてるため。
天体として月に対応していて、月の光は銀色や白っぽいけど、神秘主義の伝統(特にGolden Dawnの影響を受けた西洋カバラ)では、月の幻想的・夢のような性質を表すために紫が割り当てられている。
- 月は潜在意識、夢、アストラル界、感情の揺らぎ、神秘的なイメージを司る。これらが「曖昧で幻想的な」ニュアンスを持つ。
- 紫は伝統的に神秘、霊性、直感、夢の世界を象徴する色。赤(情熱)と青(冷静)のミックスで、物質と精神の橋渡しみた
- カバラの色体系(Queen Scaleなど)で、イェソドは「indigo(藍紫)」や「violet purple」と指定され、月の夜の空が紫がかって見える幻想的な雰囲気から来ている。
※虹の7色に入る最後の紫は、厳密には「バイオレット(violet)」であり、しばしば、パープル(purple)とも表記されることがあるが、パープルは虹のスペクトルには存在しない色、赤と青を混ぜて作る「非スペクトル色」。よって基本の紫の表記はバイオレットが順当であろう。
下記 「紫色」波長400、赤色の波長は656ナノメーターと光線のタイプとしては開きがあります。

- Violet(バイオレット):虹の最短波長側(380-450nmくらい)の純粋な光の色。青みが強くて、すみれの花みたいな神秘的なニュアンス。英語の虹の覚え方「ROYGBIV」のV。
- Purple(パープル):赤みが強い紫で、赤+青の混合。古代の貝紫みたいに高貴で華やかなイメージ。
線引きが重要なのではなく、バイオレットが何で、パープルが何か、異なることばの違いを知っておくことが重要でしょう。
たとえば、虹の分光を見ると、端はvioletで終わるけど、人間の目や文化で「紫」と感じる部分がパープルっぽく見えることもある。そもそも色彩とは、光の波長と心の解釈のミックスだから、曖昧だからこそより一層美しさも増すと言う側面もあろうかと。


🟣マルクトからイェソドへ
ちなみに、最下位の「マルクト」にも一見、紫に染められた箇所があるが「あずき色」との表記がある。
これは、Queen Scale(女王の色階)と呼ばれるもののひとつで、マルクトは物質世界を表すセフィラーであり、四元素の混合だから四つの色に分かれてる:四色は以下
- Citrine(レモン色、黄緑寄り)
- Olive(オリーブ色)
- Russet(あずき色、赤みがかった茶紫)
- Black(黒)
この「あずき色(russet)」は、オレンジと紫の混合で、赤小豆みたいな茶色がかった赤紫。日本の伝統色で言うと、江戸時代からの染色名で、落ち着いた高貴なニュアンスがある。
古い日本語のカバラ本(特にGolden Dawnの色階を訳したもの)で、マルクトのrussetを「あずき色」と訳していた記憶かも。イェソドの紫とマルクトのあずき色は、生命の樹の下部で近い位置だから、混同されやすいのですが、イェソドの紫とマルクトのあずき色は異なる色と明記されています。
