1300~1500年代のカード文化
1300年代に中東よりヨーロッパに流入したゲームカード
ここではゲームカードやトランプの話題も出ますが、このサイトではあくまでも「タロット」を軸に考察しております。
1300年代に中東よりヨーロッパに流入したゲームカード※、今日のトランプに代表される遊戯札について、当時は各所で様々な呼ばれ方をしていました。
- ポルトガル:Carta(カルタ)
- フランス:Naibi(ナイビ) → 後にTarotに
- イタリア:Trionfi ※(トライアンフ) = 『切り札』の意 → 後にTarotに変換されたという説あり
- ※Trionfi (トライアンフ):ラテン語の「勝利・凱旋triumphi(トリオンフィ)」から派生した語句。
- 宗教上の「儀式、行列」を意味することばでもあり、聖者の行進を取り仕切る行政官は、預言、神託、占いに関わる能力を持つ者が司っていました。ここから和名「トランプ/trumps」が派生しています。
また、下記の用語もチェックしておきたいところです。
- カルトマンシー:Cartomancy:カード占い、いわゆるトランプ占い
- カルトマンサー:Cartomancer:カード占い師。欧米では、カード・リーダー などとも呼ばれる。
当時のゲームカード
ゲームカードには、36枚、40枚、52 枚、54枚、56枚など、いくつかのタイプがありました。
4 スート×9ないし10枚からなる36~40枚の数札と、4スート×王、女王、騎士などの人物札の セットで、ジョーカーなどが加わる場合があるものと伝えられています。
フランスでは、52 枚と32 の piquet/ピケ と呼ばれるセットが主流であり、下記現代でも使用されているピケ=いわゆる日本でおなじみのトランプですね。tを発音せずにピケとなるところが、フランス語のtarot/タローにも通じておりますでしょうか。
Wikipediaより
1500年代に、TAROT(タロー)ということばが生じる
「タロット」という名称については、1500年代に、Tarot/タローということばがフランスで使用され、これが広く定着して現在に至っています。日本に入ってきた際には、英語読みの「タロット」が定着。
フランスでは、日本同様タロットにカードをつけて「タロットカード/Cartes de tarot」とも呼ばれています。国内では、「タロット」は「タロット」であって、「タロット・カード」という呼び方は誤用だとする説もあります。。ここはまた後程。
フランス語TAROT のそもそもの起源が未だに謎となっているのです。
当時のカード占い師たち ルーカス・ヴァン・レイデン作品
ルーカス・ファン・ライデンとも表記されております。多くの当時の大衆文化を描写しているオランダの画家の作品に、いわゆるトランプが描かれているのがわかりますね。
Kartenlegen (ドイツ語のCartomancer・カード占い師)
1508、フランス・パリ、ルーヴル美術館
1520年 スペイン・マドリード、テッセン・ボルネミッサ美術館 Museo Thyssen-Bornemisza
絵を観る限り、ピケを操っているようです。
ゲーム、賭博も楽しいものでしたでしょう、占いもまた爆発的に流行し、大衆文化として愛好され、発達の一途をたどるわけです。
※13世紀にヨーロッパに流入したと伝えられてはいますが、シルクロードは紀元前から発達していて、中国においては7~10世紀には木版印刷もカードゲームも流行しています。日本にいつタロットが入ってきたのか? 天正カルタが1700年代とは言われていますが、個人輸入レベルではわからないことと同様、13世紀以前にヨーロッパに入っている可能性がないとは言えませんね。
以上、最近の受講生さんとのやりとりからの洞察でありました。
アルカナとは何なのか?
タロットは22枚の大アルカナと56枚の小アルカナから成るものとされているのは周知のことですが、このアルカナとは、ラテン語由来の「神秘の札」を意味することばです。
「タロット」というのが正しく、「タロット・カード」は誤用だという説を主張する人は、そこのところを強調しているのですね。
アルカナについて、抑えておきましょう。
アルカナ/Arcana
- ラテン語arcana「不思議な、秘密」の意。(イタリア語ではarcano):
- 大アルカナ;major/greater arcana:主要な/偉大なる神秘=22枚の寓意的な象徴画
- 小アルカナ ;minor/lesser arcana:主要でない/下位の神秘=4種のスート(棒、剣、杯、貨幣)に分けられた数札と人物札
A.E.Waiteとしては、TRUMPS Major もしくはGreater Arcanaとして、Pictorial Key to the Tarot の冒頭で22枚については述べています。そこでクール・ド・ジェブランの説にも触れているので。。やはり予備情報がないとなんのこっちゃと、この手の本は敬遠されがちですね。が、JTSの読書会などで皆で読むのも面白いですよ。
ぜひ、タロット愛好家の皆様にはお手元に一冊!