西洋占星術学習のためのギリシア神話概要
1 ギリシアの神話の系譜
第一世代
第一世代はウラノス(天)とガイア(地)の間に生まれた で、ティーターン神族と呼ばれる巨人族の時代であり、クロノスを含む十二柱の神々がいました。
下図)カール・フリードリヒ・シンケル (1781年 – 1841年)- 天王星と星々の舞
※本ページの画像 の参照元はWikipedia カール・フリードリヒ・シンケルはドイツの画家です。
第二世代
クロノスが統治した時代は、「.黄金時代」と呼ばれ、人類が労働せず平和に暮らせる理想的な時代だったとされています。クロノスの父親殺しの物語は、時間の流れや世代交代の避けられない運命を象徴しており、ギリシア神話の中でも特に重要なテーマの一つでありながら、暗く、悲壮感がただよう物語が中心です。
第三世代
やはりクロスの子どもであり、父親殺しによって世代交代を果たしたゼウスやその兄姉たち、オリュンポス神族の時代です。全編を通して最もエピソードが多く、この時代も神々の諸力により比較的秩序が保たれていたとされています。絵画などではティターン神族が巨人として大きく描かれ、オリュンポス神族との対比が強調されています。
2 主なギリシア神と10惑星と12星座
古代ギリシアにおいて、ギリシア人から最も愛され崇拝されたのはアポロンでした。ここではアポロンを中心に、第三世代のゼウスの系譜に登場する神々と10惑星と12星座対応を以下に記します
- ゼウスとレート―の子 アポロン (Apollo): 音楽、予言、光の神 → 太陽 ♌
- ゼウスの娘 アポロンの姉もしくは異母兄弟説あり、アルテミス (Artemis): 狩猟、自然、月の女神 → 月 ♋
- ゼウスの息子 ヘルメス (Hermes): 旅、商業、伝令の神 → 水星 ♊ ♍
- ゼウスの娘(ウラヌスの娘) アフロディテ (Aphrodite): 愛と美の女神 → 金星 ♉ ♎
- ※誕生逸話はマガジンにて
- ゼウスの息子 アレス (Ares): 戦争の神 → 火星 ♈
- ゼウス (Zeus): 神々の王、天候を司る → 木星 ♐
- ゼウスの兄 ハデス (Hades): 冥界の神 → 冥王星 ♏
- ゼウスの父 クロノス(Kronos)時間、農耕 → 土星 ♑
- ゼウスの祖父 ウラノス(Ouranos)天空神 → 天王星 ♒
- ゼウスの兄 ポセイドン (Poseidon): 海と地震の神 → 海王星 ♓
水星と金星の神々
水星と金星の神々が2名ずつとなるため、下記の割り振りを発生させると、12室につき1名の神が担当することになります。
- ゼウスの姉 デメテル (Demeter): 農業と収穫の女神 → 6室の乙女座
- ゼウスの姉 ヘスティア (Hestia): 家庭と炉の女神 → 7室の天秤座
天王星(ウラヌス)と天空神(ウラノス)の読みに注意
※天王星:ウラヌス(Uranus)→ 太陽系第7惑星「天王星」の英語名であり、やはりギリシア神話の天空神ウラノスに由来していますが、発音に注意するようにとのこと。
ウラノス(ギリシア語:Οὐρανός):ギリシア神話に登場する天空神、ガイア(大地の女神)の夫、ティーターン神族の父。
3 ローマ神話への継承
ギリシア神話は、やがてローマに入って、多くの神々がローマ文化に取り入れられました。ローマ人はギリシア神話の神々を自分たちの神々と同一視し、名前はラテン語で表記し変更しながらもその役割を大部分は受け入れ維持しました。
ゼウスはユピテル(英語表記Jupiter/ジュピター)、ヘラはユノ(Juno/ジュノー)、アフロディーはウェヌス(Venus/ヴィーナス)として、ローマの文化の中で新たな役割をになうことになります。
名称の一覧
ギリシア神名 |
ローマ神名 |
神の役割 |
ゼウス (Zeus) |
ユピテル (Jupiter) |
天空の神、神々の王 |
ヘラ (Hera) |
ジュノー (Juno) |
結婚と家庭の女神 |
ポセイドン (Poseidon) |
ネプチューン (Neptune) |
海の神 |
クロノス |
サターン(Saturn) |
時間、農耕の神 |
アレス (Ares) |
マルス (Mars) |
戦争の神 |
アポロン (Apollo) |
アポロン (Apollo) |
音楽と予言の神 |
アフロディテ (Aphrodite) |
ヴィーナス (Venus) |
美と愛の女神 |
ヘルメス (Hermes) |
メルクリウス (Mercury) |
伝令神、商業と旅の神 |
ハデス (Hades) |
プルートー (Pluto) |
冥界の神 |
デメテル (Demeter) |
セレス (Ceres) |
農業と豊穣の女神 |
アテナ (Athena) |
ミネルバ (Minerva) |
知恵と戦略の女神 |
神々の性格の変化
ギリシア神話の神々は人間的な感情を持ち、時には気まぐれでしたが、ローマ神話ではより秩序を重んじる存在として描かれました。例えば、、
- ゼウス(ユピテル)はローマでは国家の守護神としての側面が強調されました。
- 政治と宗教の融合 ローマでは神々が国家の統治に深く関わり、皇帝が神々の血統を持つとされることもありました。例えば、アウグストゥス帝はヴィーナス(アフロディーテ)の子孫であると主張し、自らの統治を正当化しました。
- 神話の再構築 ローマ神話はギリシア神話の物語を取り入れつつ、ローマ独自の伝説を加えて発展しました。例えば、ローマ建国神話では、アイネイアス(ギリシア神話の英雄)がローマの祖先とされました。
ローマ神話はギリシア神話を基盤としながらも、ローマの価値観や政治体制に適応する形で変化していったのです