ウェイト・タロットの特徴

そもそも大アルカナとは?

Arcana/アルカナ:用語集の冒頭にて

大アルカナの一枚一枚は、目に見えない、形のない「抽象概念」を絵柄にしたものとされています。たとえば、「愚者」とは、人間の愚行、その光ある側面と影を落とす側面の両面を同時に描いた人間の「愚かさ」の擬人像であると言えるでしょう。

 現存する最古のタロット、ヴィスコンティ版には、キリスト教画に見られる七つの徳目「愛徳、信徳、望徳、節制、正義、剛毅の擬人像」によく似た絵柄のアルカナが含まれています。

ただし、当時のタロットには絵札にタイトルも番号も振られておらず、タロットが作成された目的については未だ謎多きところとなっております。

時を経て1600年代に入り、木版画のタロット・セット、いわゆるマルセイユ版が確立され、一連のタロットの絵札のパターン、タイトル、札番号が定着したと推察されます。つまり、マルセイユ版の成立過程に、起源不明のタロットにまつわる大きなカギが潜在しているとも言えるのですが、この辺についても諸説があり、それぞれ主張する研究家たちが足を引っ張り合う始末でもあります。

1900年代に入って、神秘思想研究家のアーサー・エドワード・ウェイト/Arther Edward Waiteにより作成されたウェイト版のスタイルが、広くタロット愛好家に支持されるようになり、今日タロットのスタンダードとされるに至ります。発行会社であるライダー社(Rider&Company)にちなんで「ライダー版」、または「ライダー・ウェイト版」という呼称で世に親しまれています。

 

ウェイト・タロットと生命の樹

古代神秘思想カバラの象徴体系である「生命の樹」に対応させて作り上げられた78枚のアルカナが、ウェイト版です。

カバラとは、口頭伝承を意味するヘブライ語。古代イスラエルにおいて紀元前八世紀頃から体系化が始まったと言われます。ヤハウェなる創世主を信仰する一神教のユダヤ教から派生した、神秘思想の一派であり、カバラは、特定の神を信仰する宗教ではない。神ということばは登場するが、人格化された存在ではなく、宇宙創造の「光」として解釈されています。どちからと言えば、人が人としてこの世をどう生きるべきかという哲学的思想であり、厳格な修行体系が特徴。

 

カバラの生命の樹とは、人間の人生を例えたもの。白い柱と黒い柱、一方は神の慈愛、もう一方は神の峻厳の二本立てです。人生におこるできごとが、すべては神の恵みと試練の連続であり、数珠つなぎで関連しているのです。

 

 

左)生命の樹を上昇する蛇の体系図

 

 

*生命の樹と大のアルカナとの対応

 

 

 

 

*ACE(1)から10までの数札と生命の樹の対応

 

小アルカナと呼ばれる56枚のカードは、4つのスートに分けられ、それぞれが14枚の札で構成されています。構成内容は、サイコロの目のような一連の10枚の札、または、エースから10までの番号が振られた札と、4枚の人物札から成ります。

 

スートは、通常のトランプに見られるもの、WANDはクローバー、SWORDはスペード、CUPはハート、COINもしくはPENTACLEはダイヤに相当します。現在はこの4種がスタンダードなスートですが、多くのトランプカード製造職人たちは、星、矢、鳥、犬、タカ、鏡、コラム、月、碇(いかり)などの沢山のスートのサインを取り入れようとし、結局成功しませんでした。

 

 

 

 

小アルカナは、魂が段階を経て上昇し、成長し、ひとつの徳性を獲得する過程で、突き当たる困難や恵みある出来事の数々、人が直面する試練や誉(ほま)れのシーンだと言えるでしょう。

 


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