フーゴー・グロティウスの『星座図帳』より

17世紀に活躍したオランダの法学者、フーゴー・グロティウスの『星座図帳』、
これは前回の易道学校のクラスで星座記号をやったのでぜひとも持参したかったのですが、
限られた時間を考えるとこのコピーを配布するのはオミットせざるをえず。がしかし、こちらで観て頂ければ!

ギリシアの詩人・アラトスによる天象詞「ファイノメナ」紹介したもので、各星座についての文書に、オランダのヤーコブ・デ・ヘインが描いた星座図を並べた誌面となっています。

Hugo Grotius

フーゴ・グロティウス(Hugo Grotius、1583年4月10日 – 1645年8月28日)

ヒューゴ・デ・グルート(オランダ語: [ˈɦyɣoː  ˈɣroːt])またはヒューグ・デ・グルート(オランダ語: [ˈɦœyɣ])とも呼ばれ、オランダの人文主義者、外交官、弁護士、神学者、法学者、政治家、詩人、劇作家。10代の天才、デルフトに生まれ、ライデン大学で学びました。オランダ共和国の宗教政策をめぐる論争に関与したとしてレーヴシュタイン城に幽閉されたが、ゴリンヘムに運ばれた本の箱に隠れて脱走した。グロティウスはフランスに亡命中に主要な作品のほとんどを書いた。

グロティウスは、16世紀から17世紀にかけて、哲学、政治理論、法律の分野における主要な人物でした。フランシスコ・デ・ビトリアやアルベリコ・ジェンティリの初期の作品とともに、彼の著作はプロテスタント側の自然法に基づく国際法の基礎を築きました。フランスのルイ13世に捧げられた『戦争と平和の法について』と 、グロティウスが「国際法の父」と呼ばれた『自由海』の2冊は、国際法の分野に永続的な影響を与えた。グロティウスはまた、権利の概念の進化に大きく貢献しました。彼以前には、権利は何よりも物に付随するものとして認識されていました。彼の後、それらは人に属していると見なされ、行動する能力の表現として、または何かを実現する手段として見られます。

以上、Wiki情報

 

アラトスのファイノメナ

ソロイのアラトス(古希: Ἄρᾱτος, ラテン翻字: Aratos, 羅・英: Aratus)は、紀元前3世紀に活躍した古代ギリシアのマケドニアで活躍した詩人。小アジアにあるキリキアのソロイ出身であるため、政治家のシキュオンのアラトス(英語版)と区別するためソロイ(またはソリ)のアラトスと呼ばれる。

Syntagma/ファイノメナ

『現象』(Phainomena ※タイトルのSyntagmaを調べると、「シンタグマ (言語学)」ですね、ワンクッション入った感じでPhainomenaと英訳されている? さらに調べます)

アラトスの主要な作品で現存しているのは、これだけである。この前半は星座の配置や運行を扱い、Diosemeiai(天気の予兆)という別名をもつ後半部では、実用的な天気予報その他の気象論的な話題をとりあげる。前半部はエウドクソスの、後半部はアリストテレスやテオプラストスを参照している。

現代に伝わる星座に関するギリシア神話は、ほとんどがアラトスの記述を基盤にしている。ただし、これらの神話はアラトスの創作ではない。これ以前にギリシアで作られた美術品や、断片的に残った戯曲に関する記述などから、星座に関する著名な神話は、アラトス以前から伝わっていたことが分かっている。

アラトスの生前から、この作品は傑作として認められ、古代を通じて親しまれ、ヒッパルコスやアレクサンドリアのテオンらの注釈が知られている。キケロやウェルギリウスなどによって、何度もラテン語訳された。専門的な内容をエレガントな詩文の形式で、分かりやすく紹介したことが評価され、一般的な知識人は本書やその注釈から天文学や気象学について学んだ。

『現象』は、現代に通じる星座に関するまとまった記述としては最も古いもので、科学史的に重要な書物である。ヒッパルコスによる注釈は、ヒッパルコスのただ一つの現存する著作で、記されている星座の座標の値は科学史的に重要な資料である。特に、プトレマイオスの『アルマゲスト』の恒星表の由来に関する論争との関係で詳しく調べられた。中世前期のラテン語圏では、専門家にとっても、天文学に関する貴重な情報源だった。

以上、Wiki情報

「アラトスのファイノメナ」は、天文学的な星座の資料としては大変貴重なものとされ、星座の由来、云われを探求する人には実に必見の資料でもあるのですが、日本語訳が出たのは、平成11年と比較的新しく、現代の私達にとってはまだまだ馴染みの薄いものでしょう。

ナディア・オフィスの西洋占講座では、この訳本をしばしば参考書籍として使わせていただいております。

アスペクトや読み方のルールって、そもそもどこから出てきているのでしょう?
たとえば、星座記号ひとつとって。
その元になっている各星座の、星団が織りなす図像に、改めて視点を移してみたいとも、よくよく感じている井上です。

いわゆる個人の太陽星座=十二宮のどのハウスに、太陽が位置していたのか?が、
基本の基本ではあり、そこから12の星団の話ははしょられるのが常ですが。

私たちは西洋の文献に依存しがちで、そちらの最新情報?をどんどん横文字多出の乱文のままに詰め込み詰め込み、今日に至っている。それが西洋占星界の現実だから。

それはもう「ハウス」という訳し方を問題視している研究家もいらっしゃるのです。。

いやタロットにしたって、付属の英文解説書を一体どれだけの人が訳して読んだ上でタロットを使っているだろう。。とは言えそんなに網羅できないですよね、当たり前のこと。ただそこ、すごくもったいない。。
ま、すべてがそういう傾向、なのかもしれません。音楽の世界でも。。自分自身が気に入った楽曲は訳して楽しんだりもするけれども、圧倒的に意味もわからずメロディだけに感動している。。いや本当、もったいないこといっぱいしているんだろうなと自分自身思いながら過ごしているので。

せめて、これはいい、読んでおこうよ!そう感じたもの、伝統的な古いものは特にシェアしていきたい、そういう思いで、日ごろからお伝えしている文献等をお伝えする本学習帳です。

私にも、ぜひとも何なりとお教えいただきたく存じており、ご意見ご感想等と共にお待ちしております。

 

ただ占術については、文献依存もホドホドに、、ロジック通りにいかないのが世のならいですから。

本来、西洋占星術も学も、実際は夜空を見上げながら、というのが理想的なのでは。。ハイ理想ですね。

グロティウスの書籍の銅版画を担当したヤーコブ・デ・ヘインの星図は、9世紀の写本を元に描いており、ほぼ原形を踏襲しているとのこと。
当時は他にも星図の写本というものが複数存在している中で、その繊細な筆使いと陰影のつけ方において、ローマ美術と初期キリスト教美術の手法と特徴が如実に表現されているものとしてグロティウス書の中の星図は一目置かれたのでした。

各星座はひとつひとつ孤立しておらず、前後左右の星座と必ず関係しながら連なり、ストーリーを織りなしているのが特徴です。たとえば、天秤座は、蠍の二つのハサミとして星図を成し、これが天空に上昇するとき、各星座がどのような影響を受けるか、、等々。

アラトスの散文詩を12星座の順で紹介させていただきましょう。書籍では黄道12星座に特化せず、おそらくトレミーの48星座を参考に、46星座が紹介されています。

その一つがこちらです

OPHIVCHVS,ANGVIS,SCORPIVS. へびつかい座・へびつかい座・さそり座

膝を折り曲げた、不幸な星座【ヘラクルス星座】が頭を上げている方向に、<蛇つかい>【へびつかい座】があるだろう。あなたは、まず最初に広大な両肩を、そして次に残りの部分を見いだすだろう。これらの部分では光が減じているが、他方、両肩は、月の半ばの満月のときでさえ、十分な輝きを保っている。<蛇つかい>の手は光が弱く、その間を滑っていく<蛇>【へび座】は、彼の両手によってつかまれ、彼の胴体に巻き付いている。彼の両足は<蠍>【さそり座】に達しているが、左足は<蠍>の背中に押しつけ、右足は宙に浮いている。彼が手で支えている重さは等しくない。というのは、彼は右手で<蛇>のごく一部を持ち、左手でその全体を支え、そしてこの左手によって、<蛇>を<冠>【かんむり座】に達するまで持ち上げているからである。<蛇>の顎の先端にある髪の毛のような星は、天の<冠>【かんむり座】の下で輝いている。


※13星座占い

※まだ故ルル・ラブア先生、故ルネ・ヴァンダール先生などがご活躍だった時分に、海外から仕入れたネタなのでしょう、どこからから「13星座占い」説が浮上し、占星術業界はどうなるのか? という論議がかもしだされた時期がありました。

 どこぞの雑誌かなにかでは「新しく蛇使い座が発見され。。」云々書かれておりましたが、いやもう1600年代に、このようにさそり座付近、すなわち黄道上に当初から位置しているものであることは明白です。

 また異なる出処からなのでしょうか、「12星座ではなく13星座占いが王道である」といった主張としても紹介されており、、「新しく13番目の星座としてへびつかい座登場」といったソース不明の情報が無責任に切り貼りされては伝わっていくことの恐ろしさがかいま見られる次第。

 昨今、冥王星が惑星の定義から外れたときには、「主要惑星に冥王星を入れずに占星術をおこなうべき」という主張はもはやなされませんでした。ようやく、持続的安定的な西洋占星術が確立されてきた昨今でもあると、言えるのかもしれません。。

では続けます。

ARIES. おひつじ座

それ(前項のペガスス座)に続くのは<牡羊>おひつじ座で、最大の円=黄道にそって長く旅するが、<熊>こぐま座と同様に遅れることなく目的地へ至る。それが二つの角によって遠い転換点に至ろうとする迅速さは、リカオンの娘である<熊>が極<北極>の周りをゆっくりと回転するのと釣り合っている。<牡羊>の形姿は明瞭ではなく、星々もまた月が妨げても見える程の光度をもたない。

 

TAVRVS. おうし座

<御者>【ぎょしゃ座】の足もとには、獰猛な牡牛おうし座が横たわっている、額に燃える二本の角をもち、恐ろしい顔アルデバランは輝いている。その姿自体が、天のことに無知な者にも、<牡牛>の頭部、広がった鼻孔、二本の角を数えるだろう。<ヒアデス>【ヒアデス星団】がその額の上に輝いている。左の角の先にある炎【星】は、<御者>の右脚の下にあり、中間の結合点としてこれらの神々を結びつけている。<ミュルティロス>【ぎょしゃ座】は。<魚>【うお座】とともに、頭の先まで上昇する。彼のすべて【の星】は、<牡牛>とともに見られる。<ミュルティロス>の頭がまだ地上に輝いているときに、<牡牛>は彼に先だって大洋に沈む。

GEMINI. ふたご座

またヘリケー【おおぐま座】の頭の下には<双子>【ふたご座】があるだろう。

CANCER. かに座

あなたは、ヘリケー【おおくま座】の中央部の下に<蟹>【かに座】を見いだすだろう。

 

 

 

 

 

 

オフィスブログ2011年の記事からアーカイブした記事に随時追記中

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